『レインツリーの国』 恋愛は晒し合いができてこそ本物

公開日: : 最終更新日:2014/04/28 小説

「レインツリーの国」という恋愛小説についてご紹介させていただきます。
これは、有川浩さんという方が執筆された小説です。

ここに描かれている恋愛のきっかけは、とある「忘れられない本」。
この忘れられない本が、インターネットを通じて主人公の「伸」と「ひとみ」を引き合わせます。
二人はインターネットの世界で接近し、心を通わせいつしか会いたいと願うようになります。

しかし、ひとみには伸に会う事を拒む理由がありました。
その理由とは?
というのが全体のあらすじです。

まず、この登場人物が魅力的です。
伸は、根っからの関西人。時にあつくなることもあるけれど誠実、直球型の男の子です。
ひとみは、一見おとなしくて賢い、でも頭の中は実に複雑な女の子。

そんな二人のメールでの会話のリズムは読んでいて心地よく、少しくすぐったい・・・ほほえましかったり切なかったり、そんな場面も見どころです。
お互いの価値観を晒し合い、時に傷つけ合いながらも成長していくという甘酸っぱいような・・・痛いような・・・それでいて素直な恋愛小説なのです。

20代の若い世代から30代、40代の方まで幅広く読んでいただけるお話だと思います。

そもそも「恋愛」とは、楽しいものでしょうか。甘いものでしょうか。
いいえ、決してそうではないと思います。

むしろ苦しい、しんどいことの方が多いかもしれません。
でもそれを乗り越えた時に新しい価値観と出会い、二人にしか見えない何かが見える。その時に初めて二人で恋愛をしていることの喜びを感じるのです。

この小説に出てくる二人は、お互いにとって心の一番触ってほしくない部分、一番傷のある部分に直接触れるようなぶつかりあいをします。

一見それは無神経な行為かもしれません、もっと相手に対して配慮のある言動をするべきなのかもしれません。

でも二人にしかできない傷つけ合いがあり、それこそがむしろ心の傷をいやす治療なのかもしれない。成長するために、これからもっと良い二人になるためにケンカして傷つけ合うという恋愛の姿を見せてくれているのです。

時に人は、周りの人と自分を比べ卑屈になったり嫉妬したり、そんな醜い自分に嫌気がさしたりしながら生きています。そうやってみんな一生懸命生きています。

そんな私達が、「恋愛」でカッコつけている場合ではありません。

本当に好きな人ができたら、いい人でいる必要なんてない。自分のカッコ悪い姿も晒してきちんと向き合う、時には相手とぶつかる。そうやってお互いを磨き合うことこそが本物の恋愛であるといえるのではないでしょうか。

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