『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』 真の愛情は人生の扉を開ける。

公開日: : 最終更新日:2014/04/28 映画

この映画は、天才的な頭脳を持ちながらも心を閉ざす主人公ウィル・ハンティングと、妻を亡くして生きる希望を失った精神分析医ショーン・マクガイアという、二人の出会いと衝突、心の触れ合い、そしてそれぞれの再出発までを描いています。

一般的には「恋愛映画」としてカテゴライズされてはいませんが、人生において「愛し愛されること」がいかに大きな意味を持つかを、この映画を通じて学ぶことができます。

まず、幼い頃に養父からひどい虐待を受けて育ったウィル。
悪友達と日々飲み歩いたりしていても、自分の本心=弱い部分をさらけだせる相手はいません。
心から信頼し合い、自分のすべてを受け止めてくれる人と出会ったことがなかったのです。
己の能力に気づきながらも人生を諦めていたウィルでしたが、全米トップクラスの名門校マサチューセッツ工科大学(MIT)の女子学生スカイラーと出会い、彼女を愛し愛されることで、人生の新たな扉を開かれます。

欧米社会では日本よりも階級による格差がはっきりとしています。
家庭環境や学歴、職業だけでなく、住む地区も、買い物や食事をする場所も、ブルーカラーとホワイトカラーでは基本的に異なります。

そういう意味では、MITの学生スカイラーと清掃員ウィルがデートをするというのはかなり特異なケースであり、スカイラーという女性の人柄をあらわしているわけです。

ウィルの悪友が「MITの学生が俺たちと一緒に飲むなんて!」というようなことを言いますが、スカイラーは階級の差などは気にしません。
ウィルを周りの環境とともにそのまま受け入れます。

スカイラーは父親を亡くして遺産を受け継いでいますが、「父が一日でもいてくれたら、遺産は全部いらない」という言葉からもわかるように、親から確かな愛情を受けて育ったのでしょう。

しかし、孤児として愛を知らずに育ったウィルは、スカイラーの愛情を信じ切ることができません。
いずれ自分は捨てられるのではないか、という恐れから、彼女との関係を断ち切ってしまいます。
そして自分の能力を欲する一流企業からのオファーを受けようとするのです。

その一方、愛情の喪失から人生の扉を閉じてしまった、精神分析医のショーン。
彼もまた、その才能をもって成功が約束されていた一人でしたが、妻を亡くした悲しみから立ち直れず、コミュニティ・カレッジの講師をしていました。

アメリカのコミュニティ・カレッジは、日本でいうところのカルチャー・スクールのようなもので、講師の社会的地位は必ずしも高くありません。

元同級生がMITで教授を務めフィールズ賞を受賞するなど成功していることから見ても、ショーンが投げやりな姿勢で生きていることを表しています。

愛情を知らずに生きてきたウィルと、かけがえのない愛情を失ったショーン。
この二人がどのようにして己と向き合い、「旅立ち」を迎えるかは、ぜひ映画でお確かめ下さい。

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