『ベティ・ブルー』 純粋すぎる愛は激しさとともに二人を刺し貫く

公開日: : 最終更新日:2014/04/28 映画

ベティ・ブルー 愛と激情の日々、
フランス映画の名作です。

主人公の自由奔放な少女ベティと小説家を目指すも夢かなわず悶々とした日々を送る中年男ゾルゲ。
ふたりの愛はすぐに燃え上がり、前半部は赤裸々な二人の愛が描かれ続けていきます。

ところでこの前半部分、あまりにも赤裸裸、文字通り裸裸、裸の二人が愛し合うシーンが続くので、
誰かと一緒に見るとしたら、相手を慎重に選びましょう。
間違っても家族と一緒に見てはいけません。
名作を見るためには鑑賞の環境を整えるということも重要なポイントですよね。

さて、ベティですが、彼女の愛は自由奔放であまりにも純粋。
苛烈で行き過ぎとも思える彼女のゾルゲへの愛は、やがてふたりに暗い影を落としていきます。

男としての魅力だけでなく、小説家としてのゾルゲの才能にも惚れ込んだベティは、
自分とゾルゲの周りにいる人々と次々にトラブルを起こしてしまいます。
ベティがゾルゲの才能に入れ込んだのは、相手が惚れた男だからか、
それとも本当に小説の才能そのものに入れ込んだのか。
劇中の彼女を見ると、どちらともいえそうで何ともいえません。

芸術家は自らの作品を自分自身だという人も多いですよね。
だから、作品をけなされるということは、その人にとっては自分自身を否定されるようで、
非常につらいものなのです。
そして好きな相手が芸術家だったら、そしてその人に心の底から惚れてしまっていたら。
その人の生み出す作品は自分の愛する相手そのもの。
だから、長所はもちろん、短所すら愛おしく見えるのも仕方がないことかもしれません。

そう考えると、劇中でゾルゲが小説をけなされるたびに手をつけられないほど激高するベティについても、理解できなくなくはないんですが、
彼女の場合はそれが本当に手をつけられないレベルまで行き過ぎてしまうんですね。
その様子はまるで燃え上がる炎のよう。

やがてベティのゾルゲへの愛、そして二人を傷つける物へと燃え上がる憎しみの炎は、相手だけでなく二人自身にも害を及ぼすようになってしまいます。
中盤から終盤にかけて、前半部分に感じていた危うい感じが形となって二人、特にベティを蝕んでいきます。

男からしてみると、あまりにも強すぎる愛情は嬉しい反面、疎ましくも思えるもの。
でもひょっとしたら、自らを試みず本当に自分に入れ込んでいる女性に対しては、
その暴走としか思えない行動までが全て自分のためだというように考えると、
「こいつは俺が守ってやらなきゃいけない」という気持ちになるのかもしれません。

二人の愛をひとことで言い表すのならば、純粋すぎて破滅的な愛、です。
人はどこまで人を愛することができるのか、
そしてそれは行き着くとこまでいくとどのようになってしまうか、
そしてその愛を向けられたとき、人はどう答えるべきなのか。
この映画にはそのようなメッセージを、見る人に対して問いかけてきます。

強すぎる愛故に破滅的な方向へひた進むこの感じ。
恋に恋する10代の女の子だけでなく、いろいろなことを知った大人でも、思わず引かれる凄まじいほどの愛。
もしも人生が二回あるのならば、そのうち一回はベティとゾルゲのような愛で一生を駆け抜けるのも、悪くはないのかもしれません。

関連記事

51MxEp2729L._SL160_

『人のセックスを笑うな』 振り回される恋愛はやっぱり魅力的!

■フランス映画のようなユルさが魅せる自然な2人の時間 第132回芥川龍之介賞の候補作に

記事を読む

51AS3F793XL._SL160_

『ロッキー』 愛は同じ境遇から生まれる

エイドリア~ン でお馴染みの映画『ロッキー』 ボクシングを題材にしたスポーツものですが、

記事を読む

恋愛小説家

『恋愛小説家』 素直になれない気持ちの影に純粋な思いがあるのかも

恋愛小説家という映画をご存知でしょうか。 主演はジャック・ニコルソン。 あのシャイニング

記事を読む

ラブ・アゲイン

『ラブ・アゲイン』 何よりもかけがえのないもの

高校時代に初めてつき合った魅力的な女性との間に子供ができ、そのままゴールイン。20年間幸せに

記事を読む

風と共に去りぬ

『風と共に去りぬ』 自惚れと冷静さ

名前ぐらいならかなりの人が知っているんじゃないか、そんな名作映画、『風と共に去りぬ』。

記事を読む

フォレスト・ガンプ/一期一会

『フォレスト・ガンプ/一期一会』ひたむきで純粋な愛情が心を癒す

『フォレスト・ガンプ/一期一会』は、トム・ハンクス主演のアメリカ映画です。 原作は小説

記事を読む

51-b5n6C-UL._SL160_

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』 真の愛情は人生の扉を開ける。

この映画は、天才的な頭脳を持ちながらも心を閉ざす主人公ウィル・ハンティングと、妻を亡くし

記事を読む

51Nq3APjbkL._SL160_

『ルビー・スパークス』 理想のように思えても相手を思いやる愛情も大事

私の大好きな映画「ルビー・スパークス」をご紹介したいと思います。 この映画の世界観や雰

記事を読む

愛のむきだし

『愛のむきだし』 愛とは決して後悔しないこと♪

とにかく長い。 三時間を越える大作だが飽きさせない。 主人公の少年はクリスチャン

記事を読む

PAGE TOP ↑