『イニシエーションラブ』 幻想は打ち砕かれる

公開日: : 最終更新日:2014/04/28 小説

必ず2回読みたくなると噂の恋愛小説です。
ごく普通の恋愛が描かれているだけですが、
のん気に読み進めていると最後にドカーン!とどんでん返しが来ます。

主人公は一度も女性と付き合ったことがない男子大学生の鈴木夕樹。
夕樹の夕がカタカナのタに似ているので「たっくん」と呼ばれるようになる。
恋愛には臆病だけど気が優しく、学業も優秀。
大手企業に就職も内定しています。

そんな彼がある日、合コンでひとりの女の子に出会い、心を奪われる。
真面目でやさしそうな女の子。
鈴木夕樹はそれ以来その娘のことが気になり始める。

女性と会話するのは苦手だけど彼女の前では一生懸命話して、
お洒落に興味がなかったけど着る服とかも気を使うようになって。

こんな感じで垢抜けなかった鈴木夕樹は少しずつ男として成長。
大学生の爽やかな恋愛模様が描かれていく。
この小説は前半と後半に分かれています。
後半に入っても恋愛を中心とした物語なのですが、
でも何だか変。

どこがどうとは言えないけど、
なんか違和感を覚えるんですよね。

でもその正体が何なのか読んでいてもわからない。

そんなモヤモヤした気持ちを抱えたまま読み進めると、
最後の一行でその違和感の正体が判明するという仕掛けになっています。

恋は盲目といいますが、
それにしても・・・

話が上手すぎると思ったんですよ、前半は。
恋愛経験ゼロの男の子がすごく可愛い娘と簡単にくっついて。

思い込みって怖いです。
恋愛経験が乏しい人ならこうした思い込みに簡単に落ちてしまいそう。

女性と付き合ったことがない、。
ずっと男子校だった。
兄弟は男ばかりで女性と接する機会がなかった。
そういう人は要注意です。
すぐに女性を美化してしまいますから。

でも現実の男と女なんてこんなもんです。
この小説はけして特殊な物語なんかではありません。
現実の恋愛ではみんな本当に身勝手。
そういう意味ではこの『イニシエーションラブ』という小説は、
恋愛を正直に描いているといえるでしょう。

恋愛経験が一度もないような男性は、
出会った女性に変な幻想を抱いている場合も多いようです。
そうした人たちにこの小説はいい勉強材料になるのではないでしょうか。

この『イニシエーションラブ』って後半が面白いです。
と言っても普通の男女の恋愛模様が書いてあるだけ。
でもその行間から感じる何ともいえない違和感。

前半をしっかり読んでいる人ほど、
後半ではすごく妙な違和感を味わえます。

そしてこの違和感が強ければ強いほど、
最後のどんでん返しが強烈なはず。

後半の違和感を存分に楽しんでください。

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